日本の 秘境 10選 │ 行きにくさの先にある静寂と絶景

目の前に広がる 絶景 。
便利さや効率とは少し距離をおいて、「時間をかけて行くからこそ、心に残る場所」へ向かってみたい。
そんなとき、日本各地に点在する 秘境 は絶好の目的地になります。

本記事で紹介するのは、

  • アクセスのハードルは比較的高い
  • でも、そのぶん自然環境や静けさがよく残っている

という意味での 絶景 を体験できる「日本の秘境10選」です。
奇岩が並ぶ海岸、原生林が続く世界遺産の森、地底の青い湖、雲海に沈む峠、船でしか行けない島。
それぞれの場所について、「どんな雰囲気のところか」「何が見どころか」「どう行くのか」をまとめました。

ぜひ次の旅の候補にしてみてはいかがでしょうか。

Contents
  1. 仏ヶ浦(青森県下北郡佐井村)
  2. 白神山地(青森県・秋田県)
  3. 龍泉洞(岩手県岩泉町)
  4. 寸又峡・夢の吊り橋(静岡県川根本町)
  5. おにゅう峠(滋賀県高島市)
  6. 積丹半島 神威岬(北海道積丹町)
  7. 神の子池(北海道清里町)
  8. 屋久島(鹿児島県)
  9. おおぼけ峡(大歩危峡/徳島県三好市)
  10. 小笠原諸島(東京都)
  11. まとめ ― 「行きづらさ」は、旅のスパイスになる

仏ヶ浦(青森県下北郡佐井村)

奇岩が2km続く“海の極楽浄土”

青森県・下北半島の西側に位置する仏ヶ浦(ほとけがうら)は、約2kmにわたって白緑色の奇岩・断崖が続く海岸景勝地です。

ここの岩はおよそ2,000万年前の火山活動で堆積した凝灰岩が、日本海の荒波と風雨に削られてできたもの。

「如来の首」「五百羅漢」「極楽岩」など仏にちなんだ名を持つ岩が立ち並び、その景観は“海に現れた極楽浄土”とも呼ばれます。

ここが魅力

海岸から見上げる高さ数十メートルの岩壁

  • 晴れた日のエメラルドグリーンの海とのコントラスト
  • 陸路と海路でまったく違って見える景色

特に遊覧船で海側から眺める仏ヶ浦は圧巻で、陸からでは見えない岩々の全貌を楽しめます。

アクセス&実用情報

  • 最寄りエリア
    青森県下北郡佐井村
  • アクセス
    JR下北駅 ➔ 下北交通バスで「佐井」まで約2時間20分 → 佐井港から観光船で約40分
    車の場合 ➔ 佐井村中心部から仏ヶ浦駐車場まで約50分+徒歩(遊歩道片道約20分)
  • ベストシーズン
    4〜10月(観光船運航時期)

観光のポイント

  • 遊歩道は起伏があり、往復約40分。
    足腰に不安があれば船での上陸コースが安心。
  • 海からの眺めが別格なので、「行きは船、帰りは遊歩道」など組み合わせもアリ。

白神山地(青森県・秋田県)

原生ブナ林と青池が残る“森の秘境”

青森県南西部から秋田県北西部にまたがる白神山地は、1万年以上前から続くブナの原生林が広がる世界自然遺産エリアです。

特に人気なのが、深浦町側の十二湖エリアにある「青池」。

太陽光の角度によって水面がコバルトブルーや群青色に変化し、水中の倒木までくっきり見える透明度に、訪れた人は言葉を失います。

ここが魅力

  • 人の手がほとんど入っていないブナの原生林
  • コバルトブルーの青池、沸壺の池などの神秘的な湖沼群
  • 野鳥や小動物の気配を間近に感じる静かな散策路

“山登り”というより森の中をゆっくり歩くトレッキングが中心です。

アクセス&実用情報(十二湖・青池方面)

  • アクセス拠点
    JR五能線「十二湖駅」
  • アクセス
    十二湖駅からバスまたは車で「奥十二湖駐車場」まで約15分
  • 散策
    奥十二湖駐車場から青池まで徒歩約10〜15分
    ブナ林散策路や湖沼をめぐるコースも多数

観光のポイント

  • ブナ林は春の新緑・秋の紅葉が特にきれい。
  • 世界遺産の“核心地域”に入る本格登山ルートもありますが、初心者向けは十二湖・暗門エリアの散策で十分満足度高め。

龍泉洞(岩手県岩泉町)

地底湖が青く輝く“地下の 秘境 ”

岩手県岩泉町の龍泉洞(りゅうせんどう)は、日本三大鍾乳洞のひとつ。

総延長4,000m以上が確認され、そのうち約700mが一般公開されています。

最大の特徴は、水深98mにもなる地底湖と、その驚異的な透明度

ライトアップされた水は“ドラゴンブルー”とも呼ばれる深い青に輝き、洞窟というよりも、静まり返った地下神殿のような雰囲気です。

ここが魅力

  • 第三地底湖まで続く立体的な洞内ルート
  • 1年中ほぼ10℃前後に保たれたひんやりした空気
  • 地質・水・光がつくり出す非日常的な空間

隣接する「龍泉新洞科学館」では鍾乳石の成り立ちや洞窟生物についても学べます。

アクセス&実用情報

  • 所在地
    岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1-1
  • 営業時間
    5〜9月  8:30〜18:00
    10〜4月  8:30〜17:00
  • 料金
    大人1,100円・小中学生550円(龍泉洞+新洞の共通)
  • アクセス
    盛岡駅からバスで約2時間10分(岩泉方面行き)

観光のポイント

  • 洞内は階段・急勾配もあり、滑りにくい靴必須。
  • 外が暑くても洞内はかなり冷えるので、夏でも羽織りものを持って行くと安心。

寸又峡・夢の吊り橋(静岡県川根本町)

エメラルドグリーンの湖に浮かぶ “空の歩道”

静岡県・大井川の支流、寸又川の渓谷にある寸又峡(すまたきょう)

ここに架かる全長約90mの吊り橋が、「夢の吊り橋」です。

足元は板が渡されているだけで、下にはエメラルドグリーンのダム湖。

「死ぬまでに渡りたい世界の徒歩吊り橋」に選ばれたこともあり、国内外からフォトスポットとしても注目されています。

ここが魅力

  • 湖面の色:透明度の高い水に光が入り、季節や天候で色調が変化
  • 吊り橋の揺れ:高さは約8mだが、視覚効果でかなりスリリング
  • 吊り橋+温泉:渡り終えた後、寸又峡温泉で一休みできる動線

周辺には「美女づくりの湯」とも呼ばれる露天風呂や、大井川鐵道のSL乗車と組み合わせた旅も組み立てやすいです。

アクセス&実用情報

  • 所在地
    静岡県榛原郡川根本町千頭 寸又峡
  • アクセス
    大井川鐵道「千頭駅」から寸又峡温泉行きバスで約40分
    温泉街から夢の吊り橋入口ゲートまで徒歩約20分+急な階段約8分
  • 所要時間
    吊り橋を含む周遊コース(プロムナードコース)で約90分

観光のポイント

  • ハイシーズン(GW・紅葉期)は吊り橋入場制限・待ち時間あり。早朝がねらい目。
  • 階段のアップダウンがきつめなので、ヒールやサンダルはNG。

おにゅう峠(滋賀県高島市)

雲海と朝焼けに沈む “天空の峠”

滋賀県高島市と福井県小浜市の境にあるおにゅう峠は、標高約820mの山中にある、知る人ぞ知る雲海スポットです。

ここが魅力

  • 秋〜初冬の早朝に高確率で見られる雲海
  • 夕方には比良山地の稜線と、夕焼け空のグラデーション
  • 深夜〜早朝には星空と雲海をセットで撮影できる“天体撮影の聖地”

峠から続く稜線上の林道は視界が開けており、「雲の上の道」を走っているような感覚を味わえます。

アクセス&実用情報

  • 所在地
    滋賀県高島市朽木〜福井県小浜市境界付近
  • アクセス
    名神高速・京都東ICから車で約2時間(鯖街道経由)
  • 道路状況
    峠へ至る林道は冬季閉鎖や積雪・残雪による通行止めとなることが多く、開通は概ね4月下旬以降。

観光のポイント

  • 雲海狙いは、晴れ予報+前日までに雨や冷え込みがあった朝がねらい目。
  • ガードレールの少ない区間もあるため、夜間・早朝の運転は慎重に。

積丹半島 神威岬(北海道積丹町)

「積丹ブルー」を一望する断崖の岬

北海道・積丹半島の先端に突き出した神威岬(かむいみさき)は、高さ80mの断崖が日本海に向かって切り立つ、迫力ある岬です。

駐車場から岬の先端までは、「チャレンカの小道」と呼ばれる遊歩道を片道約20分。

海を見下ろしながらアップダウンのある道を進むと、視界いっぱいに“積丹ブルー”と呼ばれる透明度の高い青い海が広がります。

ここが魅力

  • 岬の先端から300度以上を見渡せる大展望
  • 海底まで見えるほどの透明度を誇る「積丹ブルー」
  • かつて“女人禁制”とされた歴史とアイヌの伝承

アクセス&実用情報

  • 所在地
    北海道積丹郡積丹町神岬町
  • アクセス
    札幌から車で約2時間半
    小樽から車で約1時間半
  • 歩行時間
    神威岬駐車場〜岬先端まで徒歩約20分(片道)

観光のポイント

  • 遊歩道は風を遮るものがほぼないため、強風時はかなり体力を消耗します。
  • 夏でも羽織りもの必須。日差し+海風対策も忘れずに。

神の子池(北海道清里町)

“摩周湖の子ども”と呼ばれる青い泉

北海道・道東エリア、斜里郡清里町にある神の子池(かみのこいけ)は、周囲220mほどの小さな池ながら、驚くほど澄んだ青色の水をたたえています。

水温は年間を通して約8度と低く、沈んだ倒木が腐らずに残っている様子が、より一層神秘性を高めています。

“神の子”という名前は、近くの摩周湖の伏流水が湧き出しているとされることから。

晴天時の午前中、太陽の光が斜めに差し込む時間帯に行くと、水面が青く発光しているように見えます。

アクセス&実用情報

  • 所在地
    北海道斜里郡清里町
  • アクセス(車)
    清里町市街から道道摩周湖斜里線を中標津方面へ約25km → ハトイ林道へ右折し約2kmで入口。
  • 道路状況
    林道は路肩が崩れやすく、携帯電波も繋がりにくい。
    大型・中型車は通行禁止。倒木処理などで一時通行制限もありうる。

観光のポイント

  • 池の周りは木道が整備されており、スニーカーでOK。
  • 三脚使用やドローン撮影など、ルールは清里町の案内に従う必要あり。

屋久島(鹿児島県)

雨と森がつくる“時間の濃い島”

鹿児島県本土から南方約60kmの海上に浮かぶ屋久島は、1993年に世界自然遺産に登録された“森の島”です。

島の中央部は標高1,900m級の山々が連なり、山頂付近には花崗岩の岩稜、山腹にはスギ林と照葉樹林、
海岸には温暖な植物が繁るという垂直分布の豊かさが特徴。

とくに有名なのが、樹齢数千年とされる縄文杉や、苔むした森が広がる白谷雲水峡

年間を通じて雨が多く、「月に35日雨が降る」とも表現されるほどです。

ここが魅力

  • スケールの大きい山岳と深い森が島に凝縮
  • 雨が降るほど苔や森の緑が美しくなる“雨のポジティブさ”
  • トレッキング〜温泉〜海遊びまで、一島で完結する濃い体験

アクセス&実用情報

  • アクセス手段
    鹿児島港からフェリーで約4時間/高速船で約1時間45分〜2時間
    鹿児島空港から屋久島空港への空路もあり
  • 島内移動:レンタカー・路線バス・宿の送迎など

観光のポイント

  • 縄文杉・宮之浦岳などのロングトレイルは、しっかりした登山装備+ガイド利用推奨。
  • 雨具(レインウェア上下)は必須装備。傘前提はNG。

おおぼけ峡(大歩危峡/徳島県三好市)

奇岩と激流が作る“吉野川の秘境”

徳島県三好市の大歩危峡(おおぼけきょう)は、吉野川が数百万年かけて結晶片岩の岩盤を削り、多数の奇岩と深いV字谷を作り出した渓谷です。

読みは「おおぼけ」ですが、表記としては“大歩危峡”が一般的。

ここが魅力

  • 切り立った岩壁とエメラルドグリーンの川面
  • 川面から渓谷美を楽しめる観光遊覧船
  • 上流の小歩危(こぼけ)と合わせて、ラフティングの名所でもある

大歩危峡観光遊覧船は約30分の乗船で、渓谷の最も美しいゾーンをゆっくり巡ることができます。

アクセス&実用情報

  • 所在地:徳島県三好市山城町西宇1520(観光遊覧船乗り場)
  • 料金:大人1,500円・小人750円(3歳〜小学生)
  • 営業時間:9:00〜17:00(最終便16:30前後/不定期で随時運航)
  • アクセス
    • JR土讃線「大歩危駅」から徒歩約20分

観光のポイント

  • 渓谷+遊覧船+ラフティング+温泉で丸一日過ごせるエリア。
  • 紅葉シーズンの渓谷美は特に人気で、記事の写真素材としても強力。

小笠原諸島(東京都)

24時間の船旅でたどり着く“東京の果て”

東京都心から約1,000km南に浮かぶ小笠原諸島

父島・母島などからなるこの諸島には空港がなく、アクセスは定期船「おがさわら丸」だけという、究極の海の秘境です。

「おがさわら丸」は東京・竹芝桟橋から父島まで約24時間。

父島に3泊停泊し、出発から帰着まで最低5泊6日が必要という旅程も、すでに“秘境感”の一部になっています。

ここが魅力

  • 外洋のど真ん中にある島ならではの透明度の高い海
  • アオウミガメやイルカ、クジラとの出会い
  • 固有種が多い“東洋のガラパゴス”的な生態系

アクセス&実用情報

  • 船名
    おがさわら丸(小笠原海運)
  • 所要時間
    東京・竹芝桟橋〜父島(二見港)間 片道約24時間
  • 運航サイクル
    基本は週1便で、往路→父島3泊→復路で5泊6日が最短滞在プラン
  • 父島〜母島
    連絡船「ははじま丸」で約2時間(ダイヤは日によって異なる)

観光のポイント

  • 船酔い対策・日程の余裕・天候による欠航リスクを含めて“長期戦”前提の旅。
  • そのぶん、到着したときの“世界の端に来た感”は圧倒的。

まとめ ― 「行きづらさ」は、旅のスパイスになる

今回取り上げた10か所は、どれも

  • バスが少ない
  • 車での山道が長い
  • 船旅が必要
  • そもそも日数のハードルが高い

といった“行きにくさ”を抱えています。

けれど、そのハードルこそが、

  • 人の数が自動的にコントロールされ
  • 自然環境を守り
  • 「静かな時間」を残している

結果として、他には替えのきかない旅の記憶を作ってくれていると言えます。

こうした「秘境」の中からひとつを選び、その場所のためだけに旅程を組む

それだけで、普通の観光旅行とはまったく違う、「時間と静けさを味わう旅」になることでしょう。

この記事の英語ページはこちら↓↓↓

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